施政方針(平成28年度)

新年度に臨む私の所信及び町政運営に関する基本方針を申し述べさせていただき,議員の皆様並びに住民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

我が国の経済は,安倍内閣の「三本の矢」からなる経済政策いわゆるアベノミクスの取り組みによって,景気は,緩やかな回復基調が続いておりますが,個人消費の伸び悩みや海外景気の下振れなど,依然として,我が国の景気を下押しする懸念要素もございます。こうした中,政府は,一億総活躍社会の実現に向けて,「名目GDP600兆円」の実現,「希望出生率1.8」,「介護離職ゼロ」を対策の柱として打ち出し,TPPを契機として,地方に海外からの投資や人材を呼び込み,新たな市場開拓や産業創出等を通じた地方創生の好循環を加速させることを目指していこうとする政策が打ち出されました。
一方,地方創生元年と呼ばれた昨年は,将来的な人口減少と地域経済縮小の克服を目的として,全国の自治体で地方版総合戦略の策定に着手しているところです。
本町としましても,こうした政府の政策に呼応しながら,「五霞町まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定を進めているところでございまして,住民の皆様が真に豊かさを実感できるよう,本町の特性や可能性をしっかりと活かして地方創生に取り組んでまいります。

さて,東日本大震災から,もうすぐ5度目の春を迎えようとしております。住宅再建等の工事や生活拠点の形成に向けた各種事業が本格化してきているものの,いまだ不自由な暮らしを強いられている多くの人たちがおります。
そして,昨年も国内では多くの災害が発生したところですが,県内においては9月の関東・東北豪雨により鬼怒川の決壊という甚大な被害が発生いたしました。本町においては幸い,人命にかかわる大きな被害は発生しませんでしたが,昨今の地球温暖化の影響と思われる大型台風の発生や,局地的な集中豪雨,ゲリラ豪雨など,自然災害の脅威と災害に対する備えの重要性を改めて認識したところでございます。
本町といたしましても,万が一の災害発生時には,その被害を最小限に抑えるべく,災害への備え,行政の防災体制を充実させるとともに,自らの命は自分で守る自助,互いに助け合う共助の仕組みづくりを進め,防災力の向上に努めてまいります。

次に平成28年度予算の概要について申し上げます。
国の平成28年度政府予算案は,経済再生と財政健全化の両立を実現する予算として編成され,一億総活躍社会の実現に向けて,子育て支援や介護サービス等の充実,教育費の負担軽減等を進めるほか,地方創生の本格展開,持続可能な社会保障制度の確立,防災・減災対策の充実などに正面から取り組み,アベノミクスの果実を国民に届けるという,政府の強い意志が感じられるものでありまして,その成果が着実にあがることを強く期待するところです。予算規模を示す一般会計総額は,前年度に比べて0.4%増の96兆7,218億円,社会保障関係費も31兆9,738億円と,前年度より約4,000億円上回る編成となる一方,税収が所得税や法人税等の伸びにより3兆790億円の増となったことから,公債依存度は35.6%と前年度より2.7ポイント改善し,昨年度に続き,税収が国債発行額を上回り本来の姿に近い形で,財政健全化の兆しも見られるところであります。
また,平成28年度の地方財政計画におきましては,地方税や地方譲与税等が大きく伸び,リーマンショック以前の水準まで回復するなど一部に明るい兆しが見えるものの,借入金残高,社会保障費の増大,公共施設の老朽化など,依然として厳しい状況にあります。
県の予算案に眼を向けますと,今後,人口が減少し,地域間競争も激化するなか,これまで以上に「元気な地域づくり」を進めていくための予算として,前年度当初と比較すると3.5%減ですが,東日本大震災関連分を除くと0.5%増で,歳出規模としては過去第3位の1兆1,208億200万円となっております。
「元気な地域づくり」のための重点施策として,一つ目は,昨年甚大な被害をもたらした関東・東北豪雨及び東日本大震災からの復旧・復興に全力で取り組むとともに,防災体制の強化や風評被害の払拭等に必要な各種事業を計上したこと,二つ目は,地方創生,TPP対策,一億総活躍社会の実現について,国の施策を踏まえて,平成27年度最終補正予算と一体的に実施していくこと,三つ目は,人口減少社会にあっても,安全・安心,快適な生活環境のもとで,雇用がしっかりと確保され,誰もが個性や能力を発揮しながら主体的にいきいきと活躍することができる「人が輝く元気で住みよい いばらき」を創造するため,産業大県,生活大県づくりを推進していくこと,四つ目は,「財政健全化に向けた取組」として,確固とした財政基盤の確立のため,徹底した行財政改革に取り組み,財政健全化を図っていくことなどの,4つをポイントとした予算編成となっております。

次に,本町の財政状況についてですが,景気の回復などにより,個人住民税及び固定資産税など歳入の根幹をなす町税の増加が見込まれるものの,普通交付税は算定方法の見直しなどにより増額が見込めない状況にあります。また,歳出では,住みよい生活環境の確保,少子高齢化や人口減少への対応,公共施設等の老朽化対策,防犯・防災対策,子育て支援対策などに取り組む必要があること,さらに,未だ実質公債費比率が高い水準にあることなど,今後も,厳しい財政運営が続くと予想されます。
一方,平成28年度は,第5次五霞町総合計画後期基本計画の2年度目となり,多くの事業が実行時期に入っております。これからも町民と行政による協働のまちづくりを目指し,五霞町の持つ特色を最大限に活かしながら,計画を着実に実行していくことが重要であります。
このような方針のもとに編成いたしました新年度予算は,一般会計が44億7,000万円と昨年に比べ,2億500万円,4.4%の減額となりましたが,中央公民館の耐震補強工事分を除くと前年度とほぼ同額の予算額になっております。また,特別会計におきましては,5つの特別会計をあわせて28億6,358万1千円となっております。
一般会計と特別会計等をあわせた予算の総額は,73億3,358万1千円と,昨年に比べ,3億443万円,4.0%の減額となっており,水道事業会計予算につきましては,収益勘定(じょう)では,収入が4億6,111万1千円,支出が4億6,100万3千円,資本勘定(じょう)では,収入が1億5,310万円,支出が3億8,021万1千円となっております。
また,限られた財源を最大限有効に活用し,時代に即した財政需要に的確に対応するため,第5次五霞町総合計画に沿って,次の6つの事項を基本としております。

第1点目 「豊かな自然と安全を育む」-環境・防災・防犯-

環境の分野では,空家が適正に管理され,環境が安全・衛生的に保たれるよう協議会を設置し,空き家対策計画の策定と特定空家の認定等を進めてまいります。また,地球温暖化の防止及び家庭におけるエネルギーの安定確保・利用の効率化・最適化に資するため,引き続き,新規に住宅用太陽光発電システムを設置した個人住宅への補助を行ってまいります。
防災の分野では,昨年9月の関東・東北豪雨の経験を活かし,大雨等の災害に対応できるよう資機材の整備を進めるとともに,消防団員の確保と更なる装備の充実に努めてまいります。
防犯の分野では,町民の安全安心な生活を確保するため,防犯カメラの設置を進めるとともに,関係機関と連携しながら,下校時の防犯パトロールを実施するなど,引き続き児童生徒の安全確保に努めてまいります。

第2点目 「健やかと安らぎを育む」-健康・子育て・福祉-

少子化対策の分野では,昨年設置しました「五霞町結婚支援員連絡会」による結婚サポート事業を促進し,独身男女の出会いと結婚を支援してまいります。また,不妊治療の経済的な負担の軽減を図るため,特定不妊治療費の一部を助成してまいります。
健康の分野では,住民の皆様が元気に,安心して,いきいきと生活することができるよう,子どもの医療費助成事業,がん検診事業,各種予防接種事業を引き続き実施してまいります。
子育ての分野では,良好な保育環境を確保するため,引き続き私立保育園への支援を行うとともに,子育て応援フェスタを開催するなど,児童館を拠点とした子育て支援の充実を図ってまいります。
障害者福祉の分野では,社会活動への参加や就労機会の拡大を図り,社会的,経済的な自立を支援するため,相談支援等の障害福祉サービスの充実に努めてまいります。
高齢者福祉の分野では,団体等の多様な主体が参画し,様々なサービスを実施することにより,地域の支え合い体制を推進し,効率的かつ効果的な支援等を図ってまいります。また,シルバーリハビリ体操指導士による体操教室を開催し,引き続き介護予防の充実に努めてまいります。
また,本町における地域福祉のあるべき姿を描く「地域福祉計画」につきましては,五霞町社会福祉協議会が策定する「地域福祉活動計画」と整合を図りながら,新たに策定してまいります。

第3点目 「人と文化を育む」-教育・文化-

学校教育の分野では,小中学校のティームティーチング及び習熟度別授業実施のため教育活動指導員を引き続き配置いたします。また,英語教育の充実のため,小中学校への英語指導員派遣委託事業を行うほか,教育課程や学習指導などの専門的指導を行う指導主事の設置も継続して行ってまいります。
さらに,急速に進展する情報化に的確に対応できる子どもたちを育成するため,全小中学校に配置したタブレットパソコン及び電子黒板を活用したICT教育の推進を図ってまいります。また,リニューアルした小中学校のホームページを活用して,積極的な情報発信にも努めてまいります。
生涯教育の分野では,住民の多様なニーズに即した講座・教室を開催するとともに,活動団体の主体的な活動を支援してまいります。
また,発掘調査により出土した貴重な文化財等を展示するなど,町の歴史の周知に努めてまいります。

第4点目 「ゆとりとうるおいを育む」-都市基盤・生活基盤-

都市基盤の分野では,土地区画整理事業の円滑な促進を図り,本町の新たな拠点を目指し,圏央道五霞インターチェンジ周辺地区の整備を進めてまいります。また,インターチェンジ周辺地区及び新4号国道への主要なアクセス道路である町道5号線の道路整備を実施するとともに,幹線道路のネットワークを強化するため,町道7号線の整備に向けた道路及び交差点の予備設計を実施してまいります。
公共交通の分野では,「五霞町地域公共交通網形成計画」の目標であります,「住民の誰もが日頃のお出かけに使える,持続可能な公共交通体系の構築」を目指し,実証運行中のコミュニティ交通の利用状況等を検証し,本格運行への検討を行ってまいります。
水道事業の分野では,インターチェンジ周辺地区への配水管布設工事を実施するとともに,水道水の安定供給を図るため,川妻浄水場の電気設備の更新を順次行ってまいります。
下水道事業では,安定的な処理機能を維持するため,環境浄化センター及び各水処理センターの老朽化対策を順次実施してまいります。 

第5点目 「豊かさと活力を育む」-産業-

産業振興の分野では,道の駅ごかにおいて,昨年,五霞町産「八つ頭コロッケ」を発売し好評を得ているところであり,引き続き独自の商品販売に向けた取り組みや各種イベントを開催するなど,施設の効果的な利用と集客の向上を図りながら,地域産業の活性化と情報発信に努めてまいります。
農業政策の分野では,農業従事者の高齢化が進む中,持続的な農業を実現させるには,農業後継者の育成確保が必要であることから,関係機関とタイアップし,必要な知識や生産技術を習得していただく,「五霞農業塾」を開催していくほか,若年層の新規就農者に対する給付金の給付により経営の安定化を図り,青年就農者の増加を促進してまいります。
特産品開発の分野では,そば焼酎「川霞」や「八つ頭コロッケ」などが商品化され,好評を得ているところであり,今後も,五霞町産のブランド化やイベントに関する情報発信に努めてまいります。
観光の分野では,町のイメージキャラクター「ごかりん」を活用し,町内外へのイメージアップ活動を積極的に展開するなど,本町のさらなる情報発信,魅力向上に努めてまいります。

第6点目 「ともにまちを育む」-まち・地域づくり・行財政運営-

まちづくりの分野では,地域づくりを担う人材育成を図るため,話し合いの雰囲気づくり講座やサロンを引き続き開催するなど,住民と行政との協働のまちづくりを積極的に推進してまいります。
また,男女共同参画を総合的かつ計画的に推進するため,平成28年度で期間が満了する「五霞町男女共同参画推進プラン」を新たに策定してまいります。
情報発信の分野では,住民目線に立った分かりやすい広報に努めていくとともに,ホームページやツイッター,フェイスブック,メール配信などの多彩な広報媒体を効果的に活用し,あらゆる世代に対しての情報発信に努めてまいります。
また,行政サービスの利便性の向上のため,マイナンバーカードを利用した住民票及び印鑑証明書のコンビニ交付を本年4月から開始いたします。
行財政運営の分野では,将来を見据えた総合的かつ計画的な維持管理・見直し等を図っていくため,公共施設等総合管理計画の策定をしてまいります。
また,総合計画の6つの分野ごとの主要事業の概要につきまして,ただ今申し上げましたとおりでございますが,平成28年は五霞町が町制施行20周年を迎える節目の年となります。
この節目の年を,住民の皆様と祝うとともに,新たな時代へと歩みを進めていくため,6月5日には記念式典の実施,その後,健康福祉まつりや文化祭,ふれあい祭りなどの多くの方が来場されるイベントや行事での記念催しを実施してまいります。また,行政情報と生活に関連する情報をまとめた「くらしの便利帳」を発行してまいります。

以上,平成28年度当初予算案など,議案の大要と町政に対する所信の一端を申し上げましたが,これら諸施策の執行にあたりましては,一層の自覚と研鑚を積むとともに,議員の皆様をはじめ,町民の方々と一緒になって進めてまいります。
終わりに,時代は大きな変革期に入り,人口減少の到来,少子高齢化,価値観やライフスタイルの多様化など,刻々と新しい時代の流れが押し寄せています。
一方,「わがふるさと五霞」には,豊かな水を湛える大河,利根川,江戸川と,その流れが生み出した豊穣な大地,それらが醸し出す緑豊かな田園風景があり,そして,そこに暮らす人々の様々な営みが,しっかりと地域の環となり根付いております。私たちには,五霞の長い歴史を引き継ぎながら,時代の流れに対応し,未来を創り出していく使命があります。人口減少や少子高齢化など,これまで直面したことのない課題を乗り越え,更なる五霞町の前進のため,確かな一歩を踏み出してまいりたいと思います。
今後も,まちづくりのキーワード「絆」を大切に,町の将来像「人がきらめきだれもが安心・安全に暮らせるまち 五霞」の実現に向け,精一杯頑張ってまいりますので,議員の皆様並びに町民の皆様の,より一層のご支援,ご協力を賜りますようお願い申し上げ,平成28年度に臨む施政方針とさせていただきます。

 

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  • 2020年4月1日
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