施政方針(平成22年度)

新年度に臨む私の所信及び町政運営に関する基本方針を申し述べさせていただき、町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

我が国の経済動向は、100年に一度といわれた世界的な経済危機から海外経済の改善や緊急経済対策の効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待されておりますが、自律性に乏しく、高い失業率や下落傾向にある物価水準、そして円高や財政悪化に伴う長期金利の上昇など、依然として厳しい状況にあります。
また、現憲法下で初めて歴史的な政権交代が行われ、新政権が最重要施策として掲げた「地域主権」の確立に向けた動きが今年から本格化し、夏にはその基本方針となる地域主権戦略大綱(仮称)が策定される見込みであり、今後、国と地方の関係が抜本的に見直され、新しい国のかたちが創られるものと期待しております。

こうした中、国の平成22年度政府予算案を見ますと、子ども手当などの政権公約(マニュフェスト)の施策を反映した結果、予算規模を示す一般会計総額は、前年度当初と比較して4.2%増の92兆2,992億円となり、2年連続で過去最大を更新しました。とりわけ政策的経費を表す一般歳出総額は、53兆4,542億円となり過去最大に膨らんでおります。
また、新規国債の発行額は過去最高の44兆3,030億円となり、当初予算段階では戦後初めて国債発行額が税収を上回りました。その一方、公共事業費は5兆7,731億円で削減額が1兆3,000億円、削減率としては18.3%の公共事業に厳しい予算案となっております。
また、県の予算案に眼を向けますと、橋本県政が5期目を迎え、茨城の潜在力や活力を実感できる「生活大県づくり」を目指し、医療、福祉、教育など生活に密着した分野に重点的に配分し、前年度当初と比較して0.1%減の1兆753億1,500万円となり、特に、小中学校の少人数学級を現行の2学年から5学年への拡大や、境西高跡地に新設予定の特別支援学校の整備に向けた実施設計の計上、小児向けの医療費助成制度を小学校3年生まで拡大するなど、少子化対策や未来を担う人づくりを見据えた「人への投資型」に軸足を移した結果、本町においても期待できうる予算編成となっております。

厳しい経済情勢の下、平成22年度の地方財政の見通しとしては、地方交付税の原資となる国税収入や地方税収入が急激に落ち込む一方、社会保障関係経費の自然増や、公債費が高い水準で推移することなどにより、財源不足が大幅に拡大することが想定されます。このため、安定的な財政運営に必要な地方税や地方交付税などの一般財源の総額確保を基本に、地方交付税と臨時財政対策債を増額することとしています。

本町の財政状況は、町税や地方交付税等の一般財源が数年減少を続けている状況下で、行財政改革の着実な実行による歳出削減や財源確保を行い、基金の取崩しを最小限に抑えてきたところでありますが、本格化した地方債の償還や社会保障関係経費の増大、特別会計への繰出金の増加など、財政構造の硬直化が一層進んでいることから、この厳しい状況が続いていくことを前提とした行財政運営を行っていく必要があります。

平成22年度予算編成は、経済情勢、地方財政計画等を踏まえ、「歳入に見合った歳出」を基本とし、財政の健全化と町の活性化に資する施策を進めていく一方、より一層の徹底した見直しによる歳出の大幅な削減に努めるとともに、歳入面ではあらゆる財源確保策を講じ、安定的で持続可能な行財政運営の確立に向けて、必要なサービスの維持と効率化に努め、優先順位に基づく事業の選択と重点化が基本であることといたしました。

このような基本方針をもとに編成いたしました新年度予算は、一般会計が35億9,000万円と昨年の予算35億円に比べ、 9,000万円の増額予算となり、子ども手当の創設を主な要因とする2.6%の増となりました。また、特別会計におきましては、6つの特別会計をあわせて23億4,139万2千円となりました。

一般会計と特別会計をあわせた予算の総額は、59億3,139万2千円と、昨年の予算59億1,828万2千円に比べ、1,311万円、0.2%の増額となっております。水道事業会計予算につきましては、損益勘定では、収入が5億1,051万5千円、支出が5億978万4千円、資本勘定では、収入が1,990万円、支出が2億5,035万2千円とそれぞれ減額となっております。

以上のように編成させていただきました当初予算でありますが、限られた財源を最大限有効に活用し、時代背景に即した財政需要に的確に対応するため、重点施策については、平成22年度が初年度であります、第5次五霞町総合計画の将来像「人がきらめきだれもが安心・安全に暮らせるまち 五霞」の実現に向け、次の6つの事項を基本といたしました。

まず、第1点目は「豊かな自然と安全を育む」-環境・防災・防犯-です。

広域的な連携として行っているごみ、し尿処理業務や救急・消防業務につきましては、構成市町との連携と協調を図りながら、更なる住民サービスの向上に向け、広域行政を推進いたします。
災害対策としては、地震災害をはじめとする各種災害に対応するため、五霞町地域防災計画に基づく危機管理体制の強化を図るため、自主防災組織による避難訓練の実施や災害時要援護者のための避難支援プラン個別計画の策定に努めるなど、防災体制の充実を推進してまいります。
防犯対策としては、児童生徒の安全確保に努め、関係機関と連携しながら引き続き下校時の防犯パトロールを実施してまいります。
また、地球規模で取り組みが求められている地球温暖化問題につきましては、きわめて身近で憂慮すべき大きな問題であり、町民、事業者、町が一体となった諸施策の一つとして、小中学生を対象に天然素材でのビオトープ浮島づくりを実施し、水辺浄化活動に取り組みます。

次に、第2点目は「健やかと安らぎを育む」-健康・子育て・福祉-です。

高齢者福祉事業としては、高齢者の安全確保を目的とし、75歳以上の高齢者世帯を対象に個人住宅用火災警報器設置事業を実施いたします。
子育て支援事業としては、新規事業として、次世代の社会を担う子どもを応援する観点から中学校修了までの児童に支給する「子ども手当」の創設や、低年齢児(3歳未満)の保育体制を確保するため、民間保育所における保育士の増員に対し低年齢児保育体制緊急整備補助金を交付するほか、引き続き、通常の保育時間を延長していただく延長保育事業、子育て親子の交流の場や情報の提供といった地域子育て支援拠点事業等各種支援事業につきましては、町内2つの保育園に取り組みを行っていただいております。
少子化対策事業として、町の子育て支援に関する、保育サービスや教育、各種の手当などをまとめた冊子を作成し情報の提供に努めます。
健康づくりの推進としては、女性特有のがん検診を推進するため、引き続き乳がん、子宮頸がんの検診料を年齢に応じて助成するほか、平成21年度において猛威をふるい新たに創設させていただいた、新型インフルエンザワクチン接種費用の助成を引き続き実施いたします。

次に、第3点目は「人と文化を育む」-教育・文化-です。

学校教育における学力向上対策としては、非常勤講師を2名雇用し、学力向上のための指導方法の工夫改善等を行う学校活性化支援事業を新たに導入するほか、小中学校のティームティーチング及び習熟度別授業実施のため引き続き教育活動指導員を配置いたします。
国、県の体力調査などでも、高い成績を収めている児童生徒の体力づくりの取組みとしては、各学校での特色ある活動を最大限に活用しさらなる向上に努めます。
また、英語教育充実のための小中学校への英語指導員派遣委託事業の実施、中学校の選択教科の充実のため専門家を講師と迎える選択コース指導員の配置などを引き続き行うほか、教育課程や学習指導などの専門的指導を行う指導主事の設置も継続して行います。
町史編さん調査事業としては、本編発行時期を迎え、今年度、五霞町史本編の一部である本編2「五霞の生活史-資料編1-」を刊行させていただきます。

次に、第4点目は「ゆとりとうるおいを育む」-都市基盤・生活基盤-です。

圏央道インターチェンジ周辺整備事業として、新たな産業立地を図るため、市街化区域への編入を前提とした区域区分の見直しを検討するための調査業務を実施するほか、新たに、住宅、建築物の災害時の被害の軽減を図るため、木造住宅耐震診断の助成を実施いたします。
公共下水道事業としては、新たに、設備機器等を計画的に更新していくための下水道処理施設長寿命化計画を策定するほか、農業集落排水事業におきましては大福田水処理センターの老朽化による施設の改修及び管路の補修工事の施工を実施いたします。
道路整備事業におきましては、道路改良及び維持補修工事の計画的な整備、堤防強化対策事業におきましては、国土交通省と連携を図り事業の促進を行ってまいります。
また、上下水道施設の維持管理業務について、平成22年度より3箇年の包括的民間委託契約を導入することにより、施設の効率的な運営と経費の削減を図ります。
総合運動公園整備事業としては、一部未買収となっていた土地の購入を実施し、整備に向けた準備を進めていきたいと考えます。

次に、第5点目は「豊かさと活力を育む」-産業-です。

新規に、消費生活に関する問題やトラブルなどの相談に対応するため、消費生活相談窓口を設置いたします。
農業振興としては、農業用水幹線用水路の整備としての地盤沈下対策事業や病害虫防除対策事業としての水稲育苗箱施用薬剤助成金、生産調整推進事業を行うほか、引き続き、農薬や化学肥料の使用を低減し、環境への負荷をかけない営農活動を行うエコ農業茨城推進事業への助成を実施します。
また、「道の駅ごか」を町農業の振興の拠点として捉え、さらなる発展と活性化を図ってまいります。
雇用促進対策としては、ハローワークなど関係機関との連携を積極的に図り、雇用体制の充実を推進します。

最後に、第6点目は「ともにまちを育む」-まち・地域づくり・行財政運営-です。

町の将来像実現に向けた行政施策の大綱である、第5次五霞町総合計画の内容や町の概要を掲載した町勢要覧を策定いたします。
人口の増加及び定住促進を図るための定住化促進事業、少子化対策としての就学祝い金も引き続き実施してまいります。
また、住民と行政との協働のまちづくりを積極的に推進した成果であります「ふれあい祭り」についても引き続き実施し、協働のまちづくりを進めてまいります。

以上、平成22年度当初予算案など、議案の大要と町政に対する所信の一端を申し上げましたが、これら諸施策の執行にあたりましては職員ともども全力で取組んでまいります。このように地方自治体を取り巻く状況が大きく転換しようとする今、私は、町長として町民の皆様の先頭に立ち、困難な課題に果敢に挑戦し、将来にわたって持続可能な財政基盤の構築を行い、五霞町の希望ある未来を切り拓いてまいる所存であります。
また、まちづくりのキーワード「絆」を大切に、第5次五霞町総合計画のスタート元年、町の将来像「人がきらめきだれもが安心、安全に暮らせるまち 五霞」の実現に向け、議員の皆様並びに町民の皆様のご支援、ご協力を重ねてお願い申し上げますとともに、今議会に提出いたしました全議案につきましても慎重なるご審議のうえ、ご承認をいただきますようお願い申し上げます。

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  • 2020年4月1日
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