施政方針(平成27年度)

本日ここに,平成27年第1回五霞町議会定例会を招集いたしましたところ,議員の皆様には,何かとご多用の折ご参集いただき心から感謝を申し上げます。
開会にあたりまして,新年度に臨む私の所信及び町政運営に関する基本方針を申し述べさせていただき,議員の皆様並びに住民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

昨年を振り返りますと,本格的な人口減少社会が到来する中,「地方」の行く末が大きくクローズアップされた年でした。その契機の一つである,日本創成会議から公表された「2040年までに若い女性が5割以上減るという,いわゆる消滅の可能性がある市町村が全国で半数にのぼる」との提言は,地方がこれまで長年抱える問題がクローズアップされたものであり,多くの自治体関係者に衝撃を与えました。
また,昨今の地球温暖化の影響と思われる大型台風の発生や,局地的な集中豪雨,ゲリラ豪雨に加え,昨年は,広島市における大規模な土砂崩れや御嶽山の噴火によって多数の死傷者が発生するなど,自然災害の脅威と災害に対する備えの重要性を改めて認識したところでございます。
こうした中,未曽有の大災害となった東日本大震災から,4度目の春を迎えようとしております。住宅再建等の工事や生活拠点の形成に向けた各種事業が本格化してきているものの,未(いま)だ,津波により壊滅的な被害を受けた沿岸地域や,原発事故に伴う避難地域では,新しいまちづくりへの進展がなかなか見られず,これまで以上に,国を挙げて,復興支援への取り組みを強化していく必要があると考えております。
本町といたしましても,災害に強いまちづくりの推進に向け,互いに助け合う観点から,災害時要援護者の安否確認,避難誘導体制など,共助の仕組みづくりを,今後も進めていきたいと考えております。

さて,国内情勢でありますが,昨年末の衆議院総選挙の結果,政権与党が3分の2を超える議席を獲得し,第3次安倍内閣は,3兆円を超える緊急経済対策を講ずるとともに,引き続き,デフレ脱却と財政再建の両立をはじめ,地方創生,雇用・社会保障,農業・エネルギー政策など山積する諸課題に的確に対応していくとの表明をしております。
こうした中,日本経済はデフレから脱しつつあり,円相場は一時121円台,日経平均株価も約7年4ヶ月ぶりに一時1万8千円台の回復を見るに至り,月例経済報告でも「景気は,緩やかな回復基調が続いている」とされ,2015年度の経済見通しもプラス成長が見込まれるなどその効果が表れてきております。しかし一方で,個人消費の伸び悩みや国内総生産(GDP)の2四半期連続マイナス,さらには海外景気の下振れなど,依然として,我が国の景気を下押しする懸念要素もございます。
また,政府は,昨年12月に,日本の人口の現状と将来の姿を示し,今後目指すべき将来の方向を提示する「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」と,これを実現するために今後5ヵ年の目標や施策の基本的な方向を示した,「総合戦略」を取りまとめました。これは,東京への一極集中を是正し,若い世代の就労,結婚から子育てまで,切れ目のない支援やそれぞれの地域で直面する課題を解決し,首都圏から地方へ移転しやすい環境づくりを目指すものです。あわせて,全国の都道府県及び市町村に対して,国の総合戦略等を勘案して,地域における人口動向の分析,将来展望を示す「地方人口ビジョン」と,それを基に5ヵ年の「地方版総合戦略」を策定するよう要請があったところです。この地方創生で重要なのは,地方が自ら考えて行動し,頑張る自治体には国も積極的に支援を行っていくということであります。
本町におきましても,本年225日に「五霞町まち・ひと・しごと創生推進本部」を立ち上げましたので,同本部を中心に国の動向を注視しつつ,住民の皆様が安心・安全で心豊かな生活が将来にわたって暮らせるよう,本町の特性や可能性をしっかりと活かした地方創生に取り組んでまいります。
また,平成27年度は,第5次五霞町総合計画後期基本計画の初年度となります。時代は大きな変革期に入り,これまでのような成長拡大型の社会から質的充実を求められる充実型社会に移りつつあります。あわせて人口減少の到来,少子高齢化,価値観やライフスタイルの多様化など,刻々と新しい時代の流れが押し寄せています。これからも町民と行政が役割分担をする協働のまちづくりを目指し,五霞町の持つ発展可能性を最大限に活かしながら,計画の着実な実現に努めてまいります。

次に平成27年度予算の概要について申し上げます。
国の平成27年度政府予算案は,平成26年度補正予算の緊急経済対策や27年度税制改正とあわせ,経済再生と財政再建の両立を実現する予算として編成されております。
地方創生や女性が輝く社会の実現,社会保障の充実などに正面から取り組み,景気回復の実感を全国津々浦々まで届けるという,政府の強い意志が感じられるものでありまして,その成果が着実にあがることを強く期待するところです。予算規模を示す一般会計総額は,前年度に比べて0.5%増の963,420億円,社会保障関係費も315,297億円と,前年度より約1兆円を上回る編成となる一方,税収が消費税率の引上げ等により45,240億円の増となったことから,新規国債の発行額は,前年度より43,870億円の大幅な減となり,昨年度に続き,税収が国債発行額を上回る本来の姿で,国債依存度は38.3%に低下しております。
また,厳しい経済情勢の下,平成27年度の地方財政計画におきましては,地方が自主性・主体性を最大限発揮して地方創生に取り組み,地域の実情に応じたきめ細かな施策の実現を可能にする観点から,「まち・ひと・しごと創生事業費」を創設されるなど,平成26年度の水準に対して2.3%上回る額を確保されており,一般財源総額についても,地方税の増収などにより,0.2%の増となっております。
県の予算案に眼を向けますと,毎年1万人を超える人口減少や,地域間競争が激化するなか,これまで以上に「元気な地域づくり」を進めていくための予算として,前年度当初と比較し6.5%増の11,6134,300万円となっております。
「元気な地域づくり」のための重点施策として,一つ目は,引き続き東日本大震災からの復旧・復興に最優先で取り組むとともに,防災体制の強化や風評被害の払拭等に必要な各種事業を計上したこと,二つ目は,県民一人ひとりが,質の高い生活環境のもとで,安全,安心,快適に暮らすことができる「産業大県・生活大県」づくりを着実に推進するため,総合計画の「活力あるいばらきづくり」「住みよいいばらきづくり」「人が輝くいばらきづくり」に掲げる重要政策に積極的に取り組むこと,三つ目は,国の平成26年度補正予算で措置された「地域消費喚起・生活支援型」の交付金と「地方創生先行型」の交付金を平成26年度最終補正予算に計上し,平成27年度当初予算と一体的に実施していくこと,四つ目は,「財政健全化に向けた取組」として,確固とした財政基盤の確立のため,徹底した行財政改革に取り組み,財政健全化を図っていくことなどの,4つをポイントとした予算編成となっております。

次に,本町の財政状況は,回復基調にある景気を反映して改善の兆しがみられるものの,町税のうち,その根幹をなす個人住民税については,納税義務者の減少から今後減少傾向が続くものと見込まれます。また,歳出では,少子高齢化の急速な進行などにより,扶助費をはじめとする社会保障関連経費が増加,公共施設の老朽化対策など,住民の安心・安全を確保するうえで必要な事業も見込まれるなど,今後も,厳しい財政運営が続くと予想されます。
また,私の任期満了も近いことから,本来なら骨格予算として編成するところでございます。しかしながら,こうした状況の下ではありますが,平成27年度の予算編成にあたっては,第5次五霞町総合計画の将来像「人がきらめき だれもが安心・安全に 暮らせるまち 五霞」を着実に実現し住民の皆様の思いに応えるため,また,人口減対策,地方創生,IC周辺開発など,山積する重要課題を一刻の猶予も停滞することもなく,適時適切に対応していくことが町政を運営する上での基本であると考え,通常予算として編成させていただきました。
このような方針のもとに編成いたしました新年度予算は,一般会計が467,500万円と昨年に比べ,66,500万円,16.6%の増額となりました。また,特別会計におきましては,5つの特別会計をあわせて296,3011千円となっております。
一般会計と特別会計等をあわせた予算の総額は,763,8011千円と,昨年に比べ,98,8011千円,14.9%の増額となっており,水道事業会計予算につきましては,収益勘定(じょう)では,収入が45,7224千円,支出が45,7083千円,資本勘定(じょう)では,収入が1460万円,支出が37,2739千円となっております。
また,限られた財源を最大限有効に活用し,時代に即した財政需要に的確に対応するため,第5次五霞町総合計画に沿って,次の6つの事項を基本としております。

第1点目 「豊かな自然と安全を育む」-環境・防災・防犯-

環境の分野では,地球温暖化防止や再生可能エネルギーの導入促進のため,引き続き,新規に住宅用太陽光発電システムを設置した個人住宅への補助を行ってまいります。
防災の分野では,災害時には初動対応が重要であることから,住民の防災意識の向上を図るとともに,災害時に重要な役割を担っていただくことになります自主防災組織等のさらなる強化を図るなど,防災体制の充実に努めてまいります。また,消防団員の装備の充実として,安全対策のための装備品を整備するとともに,災害時などに,関係機関との情報を確実にとりあえるよう,茨城県防災ネットワークシステムを更新いたします。
防犯の分野では,関係機関と連携しながら,引き続き,下校時の防犯パトロールを実施するなど,児童生徒の安全確保に努めてまいります。

第2点目 「健やかと安らぎを育む」-健康・子育て・福祉-

少子化対策の分野では,結婚サポート事業をより充実させるための財政的支援を行い,独身男女の出会い,結婚を支援してまいります。また,高額の治療費が必要となる不妊治療について,経済的負担の軽減を図るため,医療保険が適用されない治療費の一部を助成してまいります。
健康の分野では,生活習慣病を未然に防止するため,特定健康診査の啓発活動を充実し,受診率の向上を図るほか,日常の健康管理等を推進するため,健康教室を開催し,禁煙,高血圧など,健康教育の充実を図ってまいります。また,がん検診について,早期発見・早期治療を心がけるよう,受診率の向上を目指すほか,感染病予防のため,各種予防接種の接種率の向上に努めてまいります。
子育ての分野では,教育と保育を一体的に行う幼稚園と保育園の機能を併せ持つ,認定こども園の施設に対する支援をしてまいります。また,引き続き,子育て応援フェスタを開催し,児童館を拠点とした子育て支援の充実を図ってまいります。
障害者福祉の分野では,障害者の地域における自立した生活を支援するため,相談支援等の障害福祉サービスの充実を図るとともに,障害者への理解を深める心のバリアフリーを推進してまいります。
高齢者福祉の分野では,一人暮らし高齢者に対応したサービスの充実や地域での見守り,支え合いのシステムなど関係機関等との連携を図るとともに,シルバーリハビリ体操指導士によるシルバーリハビリ体操教室を開催し,介護予防の充実に努めてまいります。

第3点目 「人と文化を育む」-教育・文化-

学校教育の分野では,地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正を踏まえ,新たな教育委員会制度及び体制を構築し,充実した教育行政の運営を図ってまいります。また,急速に進展する情報化に的確に対応できる子供たちを育成するため,26年度に配置したタブレット端末及び電子黒板などを活用した授業を行うほか,引き続き,小中学校のティームティーチング及び習熟度別授業実施のため教育活動指導員を配置いたします。また,引き続き,英語教育の充実のため,小中学校への英語指導員派遣委託事業を行うほか,教育課程や学習指導などの専門的指導を行う指導主事の設置も継続して行ってまいります。
生涯教育の分野では,生涯学習における拠点施設である中央公民館本館の耐震補強工事を実施するほか,中央公民館講堂においても,天井の改修工事を実施してまいります。

第4点目 「ゆとりとうるおいを育む」-都市基盤・生活基盤-

都市基盤の分野では,土地区画整理事業の円滑な推進を図り,本町の新たな拠点を目指し,圏央道五霞インターチェンジ周辺地区の整備を進めてまいります。また,アクセス道路である町道5号線の用地買収と道路整備に着手するとともに,幹線道路のネットワークを強化するため,町道7号線の整備に向けた設計・調査を実施してまいります。
公共交通の分野では,現在策定を進めている「五霞町地域公共交通網形成計画」と整合性を図り,「住民の誰もが日頃のお出かけに使える,持続可能な公共交通体系の構築」を目指し,引き続きコミュニティ交通の実証運行を行うとともに,本格運行への検討を行ってまいります。
水道事業の分野では,水道水の安定供給を図るため,川妻浄水場や川妻取水場の電気設備の更新を順次行ってまいります。
下水道事業では,安定的な処理機能を維持するため,環境浄化センター及び各水処理センターの老朽化対策を順次実施してまいります。

第5点目 「豊かさと活力を育む」-産業-

産業振興の分野では,開業10周年を迎えた道の駅ごかにおいて,記念式典を始め,引き続き各種イベントを開催するなど,施設の効果的な利用と集客の向上を図り,地域産業の活性化に努めてまいります。
農業政策の分野では,平成26年度から策定を進めている農業振興地域整備計画について,農用地等の面積,土地利用,農業就業人口,農業生産,将来の見通し等に係る調査を実施し,農用地区域の明確化など,計画の総合的な見直しを前年度に引き続き行ってまいります。また,担い手育成支援事業として,人・農地プランに基づき,就農時年齢が45歳未満の独立,自営就農者を支援する,新規就農・経営継承総合支援事業を実施するほか,農業後継者の育成確保のため,関係機関とタイアップし,必要な知識や生産技術を習得していただく,「五霞農業塾」を充実させ,後継者の育成を継続的に図ってまいります。
特産品開発の分野では,一昨年から販売を始めた,五霞町そば焼酎振興協議会のそば焼酎「川霞」が好評を博(はく)しており,商工会においても,「八つ頭」を加工したコロッケやポタージュ,ぞうすいなどの商品化に向けた取り組みが行われているところであり,今後も,五霞町産ブランドやイベントに関する情報の発信に努めてまいります。
観光の分野では,町のイメージキャラクター「ごかりん」を活用し,町内外へのイメージアップ活動を積極的に展開し,本町のさらなる魅力向上に努めるとともに,町外の方に本町をPRする観光パンフレットを作成してまいります。
消費者行政の分野では,住民の皆様の安心・安全な消費生活を実現するため,国,県,関係機関等と協力しながら,今後も継続的に取り組み,相談体制及び広報啓発活動等の一層の充実を図ってまいります。

第6点目 「ともにまちを育む」-まち・地域づくり・行財政運営-

まち・地域づくりの分野では,「五霞ふれあい祭り」が10年目を迎えることから趣向を凝らした取り組みを行うとともに,ファシリテーターの育成やそれを活用した話し合いの場の創出により,住民と行政との協働のまちづくりを積極的に推進してまいります。
情報発信の分野では,住民目線に立った分かりやすい広報に努めていくとともに,昨年リニューアルした町公式ホームページやツイッター,フェイスブック,メール配信などの多彩な広報媒体を効果的に活用し,あらゆる世代に対しての情報発信に努めてまいります。また,本町の認知度やイメージを向上させるためのPR動画を製作してまいります。
納税者の利便性向上を図るため,本年4月から,町税や上下水道料金をお近くのコンビニエンスストアで納められる「コンビニ納付」を開始いたします。さらに,行政手続きが簡単・便利にでき,住民サービスの向上を目指した社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の開始に向けた準備を進めてまいります。
行財政運営の分野では,「まち・ひと・しごと創生」に関する目標や基本的方向などを定めた総合戦略を策定してまいります。策定にあたっては,地方の発意と自主的な取り組みが基本となることから,町独自のビジョンと戦略を立案し取り組んでまいります。


以上,平成27年度当初予算案など,議案の大要と町政に対する所信の一端を申し上げましたが,これら諸施策の執行にあたりましては,一層の自覚と研鑚を積むとともに,議員の皆様をはじめ,町民の方々と一緒になって進めてまいります。
終わりに,「わがふるさと五霞」には,豊かな水を湛える大河,利根川,江戸川と,その流れが生み出した豊穣な大地,それらが醸し出す緑豊かな田園風景があり,そして,そこに暮らす人々の様々な営みが,しっかりと地域の環となり根付いております。私たちには,五霞の長い歴史を引き継ぎ,未来を創り出していく使命があります。人口減少や少子高齢化など,これまで直面したことのない課題を乗り越え,未来を切り拓いていく確かな一歩を踏み出してまいりたいと思います。
今後も,町の将来像「人がきらめきだれもが安心・安全に暮らせるまち 五霞」の実現に向け,精一杯頑張ってまいりますので,議員の皆様並びに町民の皆様の,より一層のご支援,ご協力を賜りますようお願い申し上げ,平成27年度に臨む施政方針とさせていただきます。

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  • 2020年4月1日
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