施政方針(平成24年度)

新年度に臨む私の所信及び町政運営に関する基本方針を申し述べさせていただき,町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

昨年,3月11日に発生した東日本大震災は,死者・行方不明者が1万9千人余となる未曾有の大災害となりました。震災後1年が経過しようとしておりますが,あらためて多くの犠牲者に哀悼の意を表すとともに,被災された皆様にお見舞い申し上げます。また,被災地の復興はこれから本格化されるものと期待いたしますが,町といたしましても,出来うる限りの支援を考えていきたいと思いますので,町民の皆様におかれましても,被災地の復興に対して,息の長いご支援をお願いしたいと思います。また,東日本大震災では,本町も大きな影響を受け,新たな経験と多くの教訓を残しました。震度5強という,かつてない最大の揺れを経験し,災害対策本部の設置,被災地への支援,避難者の受入れ,そして,原発事故に伴う放射線の影響等に対する対策など,すべてが初めての対応となりました。幸い人的な被害はなかったものの,これらの経験を踏まえ,自分たちのまちは自分たちで守るという自助への取組みと,互いに助け合う連携の視点からの被災地への支援,周辺自治体及び関係団体との災害協定の締結等も進めていきたいと考えております。また,地域社会の繋がりは,防災面だけの自助,共助,公助の観点だけではなく,福祉や子育て支援,青少年の健全育成,防犯などさまざまな分野にも影響を及ぼすものと捉えておりますので,日頃から,地域コミュニティの形成を育み,地域の絆,地域の力を高めていく必要があると思います。

また,我が国の経済は,長らく続く経済不況からの回復もままならない状況の中で,欧州ギリシャの債務問題が明らかになり,欧州全体に財政危機の連鎖が広がっています。通貨(ユーロ)と金融政策は統合する一方で,財政政策は各国に委ねるという構造的な欠陥がもたらした結果とも言われております。今後,欧州全体の財政再建が期待されますが,その反動による円高が続けば日本の輸出産業はさらに影響を受ける可能性があり,財務省の発表では,2011年は31年ぶりに貿易収支が赤字に転落し,現在も赤字が続いているそうです。デフレの中でますます景気の回復が心配され,経済状況は大変厳しくなると想定しておく必要があります。景気回復や雇用状況の改善は,基礎自治体レベルで対応することは困難ですが,関係機関と連携し,実施可能な対策を推進していければと思います。

こうした中,国の平成24年度政府予算案を見ますと,5つの重点分野を中心に,日本再生に全力で取組むとともに,地域主権改革の確実な推進と既存予算の不断の見直しを行なうこと等を基本方針として編成され,予算規模を示す一般会計総額は,前年度当初と比較して2.2%減の90兆3,339億円となり,4年ぶりに減少し,社会保障関係費も8.1%減の26兆3,901億円となりました。しかし,税収42兆3,460億円に対し,新規国債の発行額は,歳入の49.0%となる44兆2,440億円と,過去最悪の国債依存度となっております。また,一般会計から切り離された東日本大震災の復興費などを含めると,実質的な歳出総額は,過去最大に膨らんでいます。

また,県の予算案に眼を向けますと,東日本大震災からの早期復旧に引き続き取組むとともに,復興を成し遂げ,再び発展の軌道に乗せるための必要な事業などを重要施策のポイントとして,前年度当初と比較して6.5%増の1兆1,077億6,200万円となり,東日本大震災からの復旧・復興事業,厳しい雇用情勢や歴史的な円高の進行を踏まえた経済・雇用対策,県民一人ひとりが,質の高い生活環境のもとで,安全,安心,快適に暮らすことができる生活大県づくりとして,「住みよいいばらきづくり」「人が輝くいばらきづくり」「活力あるいばらきづくり」の3つのポイントの着実な推進,財政健全化に向けた積極的な取組みなどの4つの点を柱とした予算編成となっております。

厳しい経済情勢の下,平成24年度の地方財政の見通しとしては,地方税収入や地方交付税の原資となる国税収入が緩やかに回復することが見込まれる一方,社会保障関係経費の自然増や,公債費が高い水準で推移することなどにより,依然として大幅な財源不足が生じるものと見込まれております。
このため,安定的な財政運営に必要な地方税や地方交付税などの一般財源の総額は,前年度と実質的に同水準となるよう確保することを基本として対応を行なうこととされたところです。

本町の財政状況は,町税等の一般財源が依然として横ばいで推移している状況下で,社会保障関係経費の増大,公共施設の老朽化・耐震化等に伴う大規模修繕,また,特別会計への繰出金の増加など,引き続き,多くの財源を必要とする課題が,今なお山積しており,この厳しい状況が続いていくことを前提とした行財政運営を行っていく必要があります。

平成24年度の予算編成は,第5次五霞町総合計画の将来像「人がきらめき だれもが安心・安全に 暮らせるまち 五霞」の着実な実現に向け,将来に向けた重点プロジェクトを力強く実行するとともに,町民の皆様の思いに応えるため,住民の安心・安全の確保に向けた施策を重点的にすすめ,将来にわたって活力あふれるまちづくりに引き続き取組むための年度であることを基本といたしました。

 

このような基本方針をもとに編成いたしました新年度予算は,一般会計が38億1,400万円と昨年の予算36億7,000万円に比べ,1億4,400万円,3.9%の増額予算となりました。また,特別会計におきましては,5つの特別会計をあわせて23億4,800万円となっております。
一般会計と特別会計をあわせた予算の総額は,61億6,200万円と,昨年の予算59億5,939万3千円に比べ,2億260万7千円,3.4%の増額となっており,水道事業会計予算につきましては,損益勘定では,収入が4億3,769万7千円,支出が4億3,676万7千円,資本勘定では,収入が960万円,支出が2億2,059万6千円となっております。

以上のように編成させていただきました当初予算でありますが,限られた財源を最大限有効に活用し,時代に即した財政需要に的確に対応するため,第5次五霞町総合計画の将来像「人がきらめきだれもが安心・安全に暮らせるまち 五霞」の実現に向け,次の6つの事項を基本といたしました。

まず,第1点目は「豊かな自然と安全を育む」-環境・防災・防犯-です。

環境の分野では,町の環境保全を図るため,環境基本計画の改定を行なうほか,地球温暖化防止やエネルギー自給率向上のため,太陽光発電システムを設置した新規の個人住宅を対象に1件あたり10万円を上限に補助を行ないます。
防災の分野では,東日本大震災を踏まえ,地域防災計画の見直し及び改定を行なうほか,災害時における指定避難所の機能を拡充するため,指定避難所に室内用個別受信機の設置や災害用備蓄品を購入するほか,引き続き,県と連携し放射線量率等の測定結果を公開していくなど防災体制の充実に努めます。
防犯の分野では,児童生徒の安全確保に努め,関係機関と連携しながら引き続き下校時の防犯パトロールを実施してまいります。

次に,第2点目は「健やかと安らぎを育む」-健康・子育て・福祉-です。

健康の分野では,生活習慣病を未然に防止するため特定健康診査の受診率の向上を図るほか,日常の健康管理や健康増進を推進するため禁煙,高血圧予防などの健康教育の充実を図るため健康教室を開催するほか,引き続き,予防接種事業として,小児用肺炎球菌,Hib(ヒブ),子宮頸がん,日本脳炎のワクチン接種について,対象者が無料で接種できるよう支援を行ないます。
子育ての分野では,児童館の利用者同士や親子の交流を深めるため,子育て応援フェスタを開催し児童館を拠点とした子育て支援の充実を図ります。
福祉の分野では,障害者の地域における自立した生活を支援するため,地域自立支援協議会を設置し,支援体制の整備について協議を行います。

次に,第3点目は「人と文化を育む」-教育・文化-です。

学校教育の分野では,情報教育の充実のため中学校のパソコン教室及び校内ネットワーク機器の整備を進めるほか,新学習指導要領による中学校教科書の全面改定に伴い,教科書,指導書,教材備品の整備を行ないます。また,引き続き,小中学校のティームティーチング及び習熟度別授業実施のため教育活動指導員を配置いたします。また,英語教育充実のための小中学校への英語指導員派遣委託事業の実施,中学校の選択教科の充実のため専門家を講師として迎える選択コース指導員の配置などを引き続き行うほか,教育課程や学習指導などの専門的指導を行う指導主事の設置も継続して行います。
生涯教育の分野では,生涯学習における拠点施設の中央公民館の講堂東側に新たに駐輪場を設置し,利用者の利便性の向上を図るほか,町史編さん調査事業として,完結編となる五霞町史本編「地誌編」を刊行させていただきます。

次に,第4点目は「ゆとりとうるおいを育む」-都市基盤・生活基盤-です。

都市基盤の分野では,重点プロジェクト「交流・発信プロジェクト」の,圏央道インターチェンジ周辺地域整備事業として,圏央道の供用に併せ開発予定地域の調査,測量,基本設計の策定等を実施いたします。
生活基盤の分野では,重点プロジェクト「暮らしの安心・安全プロジェクト」の,地域公共交通システム構築事業として,五霞町に合った公共交通システムを構築するため,地域公共交通会議に対し補助金の交付を行ないます。
水道事業の分野では,川妻浄水場の電気設備改修工事にかかる実施設計を行ないます。
また,公共下水道事業では,浄化センターの長寿命化計画5カ年実施計画に関連した耐震診断を実施するほか,農業集落排水事業では,効率的な維持管理を行なうため,堤防強化事業により中断していた農業集落排水台帳の整備を行います。

次に,第5点目は「豊かさと活力を育む」-産業-です。

産業の分野では,重点プロジェクト「交流・発信プロジェクト」の,「道の駅ごか」振興事業として,道の駅ごかにおいて,利用者の利便性の向上や効率的な運営を図るため,増改築等のリニューアルを行い,地域産業の活性化に努めます。また,新たに設立された農業再生協議会を中心に,生産調整に関する業務の円滑な推進を図ります。

最後に,第6点目は「ともにまちを育む」-まち・地域づくり・行財政運営-です。

まち・地域づくりの分野では,住民と行政との協働のまちづくりを積極的に推進した成果であります「ふれあい祭り」について,引き続き,補助金を交付し実施していくほか,町のイメージキャラクターを決定し,町外へのイメージアップ活動を展開し,町の活性化に努めます。
また,地域コミュニティ活動の充実と各行政区が自主的・主体的な活動のできる組織づくりを進めるため,引き続き,行政区のあり方等について検討いたします。
行財政運営の分野では,行政運営の健全化や行政サービスの向上を図るため,行政診断調査を実施いたします。

以上,町政に対する所信の一端を申し上げましたが,これら諸施策の執行にあたりましては職員ともども全力で取組んでまいります。このように地方自治体を取り巻く状況が大きく転換しようとする今,私は,町長として町民の皆様の先頭に立ち,困難な課題に果敢に挑戦し,将来にわたって持続可能な財政基盤の構築を行い,本町に合った自立のまちづくりを目指して,五霞町の希望ある未来を切り拓いてまいる所存であります。
また,まちづくりのキーワード「絆」を大切に,町の将来像「人がきらめきだれもが安心・安全に暮らせるまち 五霞」の実現に向け,町民の皆様のご支援,ご協力を重ねてお願い申し上げ,平成24年度に臨む施政方針とさせて頂きます。

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〒306-0392 五霞町大字小福田1162番地1 役場1階

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  • 2020年4月1日
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