五霞町では、社会全体のデジタル化が加速する中、行政サービスの利便性向上と地域課題の解決を柱とした「五霞町DX(デジタルトランスフォーメーション)推進計画」を改定しました。
この解説は、本計画を分かりやすく伝えるものになり、内容は適宜変更する場合があります。
01背景
1. デジタル化の深化と活用促進
これまでは「紙をデジタルに置き換える(IT化)」が中心でしたが、これからは「デジタルを前提に業務やサービスを根本から変える(DX)」段階に入ったことを示しています。
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生成AIの衝撃: ChatGPTなどの生成AIが急速に普及し、文書作成や分析のあり方が劇的に変わりました。これらを安全かつ効果的に使いこなすことが求められています。
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「質」への転換: 単にクラウドを使うだけでなく、蓄積されたデータを活用して「より正確で、よりパーソナライズされた」住民サービスへ深化させることが狙いです。
2. 国のデジタル社会ビジョンの進展
政府が掲げる「デジタル社会の実現に向けた重点計画」との足並みを揃えるものです。
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デジタル包摂(インクルージョン): 「誰一人取り残さない」という理念。操作が苦手な方へのサポートも含めた、優しいデジタル化を強調しています。
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倫理的活用: AIを使う際のプライバシー保護や透明性確保など、ルールを守った適切な運用が自治体にも強く求められるようになっています。
3. 行政サービスの高度化と業務効率化
限られた行政のリソース(予算・人員)を、いかに「付加価値の高い仕事」に回すかという課題への回答です。
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戦略的な人員配置: ルーチンワークをAIやデータ分析に任せることで、職員は対面での福祉相談や、町を良くするための企画立案といった、人間にしかできない業務に集中できます。
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新たな価値創造: 効率化で浮いた時間やエネルギーを、町の魅力向上や新しい住民サービスの創出に充てることを目指しています。
4. データ連携基盤と様式統一の推進
「バラバラだった情報を整理し、つなげる」ことで、町単体ではできなかったことを実現しようとしています。
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EBPM(証拠に基づく政策立案)の推進: 感や経験だけでなく、データ(数字)という客観的な証拠に基づいて「本当に効果のある施策」を打つ仕組みを作ります。
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地域イノベーション: 行政の持つデータを民間が使いやすい形で公開(オープンデータ化)することで、企業と連携した新しいサービスが生まれやすい環境を整えます。
5. 感染症対策や災害対応のためのデジタル連携強化
コロナ禍で露呈した「情報の分断」という課題を、教訓として未来に活かす項目です。
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組織の壁を越える: 役場内だけでなく、県や国、医療機関、近隣自治体とリアルタイムで情報を共有できる体制を作ります。
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強靭な行政機能: 災害時に役場が物理的にダメージを受けても、デジタル基盤があれば「どこからでも業務が継続できる」体制を整え、住民の命と暮らしを守ります。
02課題(2040年問題)
課題1:人口減少問題
【現状とリスク】 人口が減ると、町全体の経済規模が小さくなり、税収も減ります。その結果、道路の整備や公共施設の運営といった「当たり前の行政サービス」を維持することが難しくなります。
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DXによるアプローチ: 行かない役場: 窓口業務をオンライン化し、物理的な距離や時間の制約をなくすことで、若者世代にとっても住みやすい環境を整えるなどの対策が必要です。
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関係人口の創出: 移住者だけでなく、デジタルを通じて町に関わる「ファン」を増やし、地域活性化の新しい形を模索するなどの対策が必要です。
課題2:働き手の不足
【現状とリスク】 役場職員だけでなく、地域の企業や商店でも働き手が足りなくなっています。これが進むと、ゴミの収集やバスの運行といった生活に直結するサービスが停滞する恐れがあります。
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DXによるアプローチ: オートメーション化: AIやRPA(事務作業の自動化ツール)を導入し、少人数の職員でもミスなく迅速に業務を回せる体制をつくるなどの対策が必要です。
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テレワーク環境の整備: 柔軟な働き方をデジタルで支援し、子育て中の方やシニア世代など、多様な人材が活躍できる場を広げるなどの対策が必要です。
課題3:高齢化の進展
【現状とリスク】 医療や介護を必要とする方が増える一方で、それを支える現役世代が減っています。社会保障費の増大は町の財政を圧迫し、地域コミュニティの維持も困難になります。
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DXによるアプローチ: デジタル・ヘルスケア: 自宅にいながら健康相談ができるオンライン診療や、ウェアラブル端末を活用した見守り体制を構築し、健康寿命を延ばすなどの対策が必要です。
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移動の足の確保: AIオンデマンド交通(予約に合わせてルートを変える乗り合いバス)などを導入し、車を手放した高齢者の外出を支援をするなどの対策が必要です。
課題4:地域格差の拡大
【現状とリスク】 都市部に便利なサービスが集中し、地方(五霞町など)に取り残感が出てしまうと、さらなる若者の流出を招きます。教育や情報、経済機会の格差は「住み続ける理由」を奪ってしまいます。
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DXによるアプローチ: デジタルの力で「距離」をゼロに: オンライン教育やメタバース、リモートワーク拠点の整備により、都会に行かなくても質の高い教育や仕事にアクセスできる環境をつくるなどの対策が必要です。
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地域イノベーション: 地元の農業や商工業にデジタル技術を掛け合わせ、五霞町ならではの新しいビジネスや価値を創出するなどの対策が必要です。
02課題(克服すべき課題)
課題1:デジタルディバイド(情報格差)対策
【現状とボトルネック】 スマホ教室などの単発イベントだけでは、教えられる人数に限りがあり、日常生活で困ったときにすぐ解決できる体制になっていません。
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解説: 「役場が教える」という一方通行の支援から、「地域全体で支え合う」仕組みへの転換などの対策が必要です。
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解決の方向性: 地元のITに詳しい方などを「デジタル推進員」として公認し、身近な場所(集会所やサロン)で教え合えるネットワークを構築することが鍵となります。
課題2:地域性による障害(規模の経済の壁)
【現状とボトルネック】 五霞町のような小規模自治体では、高額なシステムを導入しても利用者が少ないため、一人あたりのコストが高くなってしまい、「投資に見合わない」と判断されがちです。
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解説: 単独でシステムを持つのではなく、「共同利用」や「汎用ツールの活用」でコストを抑えるなどの対策が必要です。
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解決の方向性: 他自治体とのシステムの共同化や、安価なクラウドサービスの徹底活用により、小さく始めて大きく育てる「スモールスタート」の考え方が重要です。
課題3:デジタルリテラシーの向上(「手段」から「目的」へ)
【現状とボトルネック】 「紙の申請をデジタル化すること」自体がゴールになってしまい、その結果として「どれだけ住民が楽になったか」「どれだけ業務が速くなったか」という本質的な改善(BPR)に結びついていません。
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解説: デジタルはあくまで道具(ツール)です。大切なのは、「今の仕事のやり方は本当にベストか?」と疑い、再設計する思考力などの対策が必要です。
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解決の方向性: 操作方法を学ぶ研修から、課題発見・データ分析・解決策をデザインする「DXマインドセット」を養う実践的な研修へのシフトが必要です。
課題4:データ・数値に関する認識(勘と経験からの脱却)
【現状とボトルネック】 「なんとなく必要そうだから」という主観的な判断で動いてしまい、客観的な数字(エビデンス)を使って政策の効果を検証する文化がまだ根付いていません。
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解説: データを活用できる環境(ダッシュボード等)がないことも、職員の意識が向かない原因の一つです。データを活用できる環境・体制構築などの対策が必要です。
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解決の方向性: まずは「どの数値を見れば町の状況がわかるか」を定義し、誰もが簡単にデータを確認できる共通基盤を整備することで、「数字で語る役場文化」を醸成します。
03目的
目的の構造:デジタルが創る「やさしさ」の連鎖
1. 最初の掛け算:対象 × 変革のプロセス
まずは、誰に対して何を行うかを明確にします。
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対象(町民・職員・データ): サービスを受ける側、提供する側、そしてその判断材料となる情報の3軸を捉えます。
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変革(デジタル化・改善・改革): *デジタル化: 紙をデータにする(守りのDX)
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改善: 無駄な工程を省く(BPR)
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改革: 仕組みそのものを新しく作り変える(攻めのDX)
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解説: この掛け算により、単なる「IT導入」ではない、根本的な「体質改善」が始まります。
2. 中間ゴール:あるべき姿(価値の創出)
変革の直接的な成果として、3つの価値を生み出します。
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利便性向上: 町民の「書く・待つ・行く」という負担を最小化します。
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業務効率向上: 職員の単純作業をゼロにし、知的で創造的な仕事にシフトします。
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新たな価値等の創出: 24時間利用可能な窓口や、データに基づく正確な政策など、これまでになかったサービスを生み出します。
3. 社会的課題の解決:地域DX・行政DXの真意
ここが「やさしさ」への重要なブリッジ(橋渡し)です。
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人が減少しても成り立つ: 2040年問題(現役世代の急減)を直視し、「人が減ってもサービスの質を落とさない、むしろ向上させる」という持続可能性を確保します。
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幸福度・満足度・充実度: デジタルで浮いた「時間」や「資源」を、趣味や家族との時間、あるいは手厚い福祉相談に充てることで、一人ひとりの心の豊かさを高めます。
4. 最終ゴール:全てが「やさしい」まち
全てのピースが組み合わさった時、町は四方良しの「やさしさ」に包まれます。
デジタルがもたらす「やさしさ」の形
- ひと:選択肢が増え、自分のペースで行政と繋がれる。多様性が認められる。
- モノ:無駄な紙や移動を減らし、環境や資源、個人の時間を大切にする。
- 地域:デジタルが「見守り」や「助け合い」の回路となり、孤立を防ぐ。
- 行政:効率化で生まれた「心のゆとり」を、住民への深い寄り添いに充てる。
解説のポイント:なぜ「飛躍」ではないのか
このロジックの肝は、「デジタル化 = 余力(リソース)の創出 = やさしさへの投資」という流れです。
「デジタルで冷たくなるのではなく、デジタルが事務を肩代わりしてくれるから、人間はもっとやさしくなれる」
この一文が、この目的設定の核心です。2030年の「アナログとデジタルの交差」は、まさにこの「やさしさの総量」がアナログ時代を上回り始めるポイントです。
まとめ:持続可能な未来のための必然的な戦略へ
この目的体系は、職員にとっては「仕事のやりがい(充実度)」を、町民にとっては「住み続けたい安心感(幸福度)」を指し示す羅針盤になります。
目的達成のための手段:5つのステップ解説
ステップ1:見る(可視化・接点づくり)
まずは「デジタルが身近にある状態」を作ります。
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解説: 難しい説明を聞く前に、まずは役場のロビーや広報、Webサイトなどでデジタルツールが動いている様子を「目にする」段階です。
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狙い: 「自分には関係ない」という心理的な壁を取り払い、視覚的に「何か新しくて便利そうなものが始まったな」という認知を広めます。
ステップ2:知る(情報収集・理解)
見たものに対して「それは何のためにあるのか」を理解する段階です。
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解説: スマホ教室や職員研修を通じて、そのツールの機能や、使うことで得られるメリット(時間が浮く、手続きが楽になる等)を知識として蓄えます。
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狙い: 単なる「道具の存在」から、「自分の課題を解決する手段」としての認識に変えることが目的です。
ステップ3:分かる(納得・自分事化)
知識が「腑に落ちる」状態、つまり「自分ならこう使える」とイメージできる段階です。
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解説: 成功事例(他自治体の例や隣の部署の例)を聞き、具体的な活用イメージが持てるようになります。
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狙い: 「やらされている感」がなくなり、自発的に「使ってみようかな」という意欲が湧く状態を目指します。
ステップ4:試す(試験導入・スモールスタート)
いきなり全面採用するのではなく、まずは限定的な範囲で触ってみる段階です。
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解説: 特定の課だけで新しいソフトを使ってみたり、一部の住民の方にアプリのテスト利用をしてもらったりします。
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狙い: 失敗を恐れずに「まずはやってみる」ことで、本格導入前に改善点を見つけ出し、リスクを最小限に抑えます。
ステップ5:使う(定着・標準化)
デジタルが「特別なもの」ではなく、日常の当たり前の道具として定着する最終段階です。
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解説: 試行錯誤を経て、全庁・全町で標準的な仕組みとして運用されます。
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狙い: 歯を磨くように、意識せずともデジタルが業務や生活に溶け込み、そこから得られたデータが次の改善(ステップ1の「見る」)へ繋がる好循環を生み出します。
まとめ:なぜこのステップが必要なのか?
DXの失敗の多くは、ステップ1から3を飛ばして、いきなり「5 使う」を強制することから起こります。 五霞町はこのステップを踏むことで、「人の意識の変化」を大切にしながら、持続可能なデジタル化を目指していると言えます。
5つのステップの「ローリング」解説
「ローリング」とは、一度「5 使う」まで到達した施策を、再び「1 見る」に戻して、より高いレベルで再スタートさせる循環型のプロセスを指します。
1. 螺旋状の進化(スパイラルアップ)
デジタル技術は日進月歩です。数年前の「最新」はすぐに「当たり前」になり、やがて「古い」ものになります。
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解説: ステップ5で「使う」が定着した後、その運用データや利用者の声(フィードバック)をもとに、再びステップ1で現状を「見る(可視化)」します。
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効果: 同じ場所をぐるぐる回るのではなく、回を重ねるごとにサービスの質が向上し、より高度なDXへと進化していきます。
2. 失敗を許容し、改善につなげる
最初から100点満点のシステムを作るのは困難です。
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解説: ステップ4の「試す」でうまくいかなかった場合や、ステップ5の「使う」で不便が見つかった場合、即座に前のステップに戻ってやり直します。
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効果: 計画を固定化せず、状況に合わせて柔軟に修正(ローリング)することで、多額の予算を投じた後の「取り返しのつかない失敗」を防ぎます。
3. 「慣れ」による形骸化を防ぐ
仕組みが定着すると、人間はどうしても「今のままでいい」と考えがちです。
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解説: 定期的にステップ2の「知る(新しい情報のキャッチアップ)」を組み込むことで、職員や町民が常に新しい可能性に触れ続ける状態を維持します。
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効果: 組織の硬直化を防ぎ、常に「もっと良くできるはずだ」という改善意識(DXマインド)を保ち続けます。
ローリングの具体的イメージ(例:オンライン申請)
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【1周目】 一部の申請をデジタル化し、まずは「使ってみる」ところまで到達。
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【評価(ローリングのきっかけ)】
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「スマホからだと入力しにくい」「この項目は不要では?」というデータが得られる。
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【2周目】
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1 見る: データのボトルネックを可視化。
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2 知る: 最新のUI(操作画面)デザイン手法を学ぶ。
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3 分かる: 入力項目を半分に減らせば、利用率が倍になると確信。
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4 試す: 改修版をテスト。
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5 使う: より使いやすい申請フォームとして定着。
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まとめ:ローリングは「町の成長」そのもの
この5つのステップを回し続けることは、五霞町が「変化に対応し続ける強い自治体」であり続けるためのトレーニングでもあります。
目的達成のイメージ:アナログとデジタルの逆転ロードマップ
このイメージは、単にデジタルを増やすことではなく、「誰一人取り残さない」ためのグラデーション(段階的な移行)を表しています。
2025年:デジタルの「種まき」期(アナログ優位)
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アナログ(高): 役場窓口での対面申請や紙の広報紙が主流。デジタルに不安を感じる層が多数派。
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デジタル(低): 一部の先進的な住民がオンライン申請を利用し始める。役場内でも「試行(ステップ4)」が始まる段階。
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状況: 「見る・知る」段階であり、スマホ教室やスマホ相談室などを通じて「デジタルへの心理的ハードル」を下げることに注力します。
2030年:運命の「クロスポイント」(転換期)
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アナログとデジタルの交差: スマートフォンやデジタルツールを「日常の道具」として使いこなせる人が、そうでない人を上回る、あるいは拮抗するタイミングです。
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状況: 主要な行政手続きのデジタル利用率が50%を超え、効率化の実感が目に見えて現れます。
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スマホ教室やスマホ相談室の成果により、高齢層の間でも「LINEで予約」「アプリで健康管理」が一般的な風景になります。
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行政側は、この交差を機に「デジタルを標準(デフォルト)」とした業務設計へ本格的にシフトします。
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2035年:デジタルの「定着」期(デジタル優位)
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アナログ(低): 紙の手続きは「例外的な配慮が必要な場合」のみに縮小。
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デジタル(高): ほとんどの住民が「手のひら役場」を使いこなし、プッシュ型の通知で行政サービスを受けるのが当たり前に。
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状況: 職員は単純な窓口業務から解放され、蓄積されたビッグデータを活用した「五霞町独自の政策立案」に注力しています。
2040年:DXの「完成・成熟」期
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アナログ(最小): 「アナログ=温かみのある対面支援」として、本当に必要な人への高度な福祉・相談業務に特化。
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デジタル(最大): インフラや防災、交通などがAIで最適化され、デジタルを意識せずとも恩恵を受けられる「スマート自治体」が完成。
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状況: 2025年当時に抱えていた「人口減少」や「働き手不足」の課題を、テクノロジーの力で克服し、持続可能な町へと進化を遂げています。
解説のポイント:なぜ2030年が「交差」なのか
2030年は、いわゆる「デジタルネイティブ世代」が社会の中核を担い、現在の現役世代がシニア層に移行する時期です。このタイミングでスマホ機能を使える人が増えることは、「行政の効率化」と「住民の幸福度」が同時に向上し始めるクリティカルな時期であることを意味しています。
デザイン思考の解説詳細:DXを「ひと」中心にする手法
デザイン思考とは、デザイナーが設計時に用いる思考プロセスを、ビジネスや行政の課題解決に応用したものです。「何ができるか(技術)」ではなく「誰が何を求めているか(人間)」からスタートするのが最大の特徴です。
1. デザイン思考の5つのステップ
デザイン思考は、以下の5つのサイクルを回すことで、表面的な要望ではない「真のニーズ」にたどり着きます。
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共感 (Empathize): 住民や現場職員が、何に困り、何に不安を感じているのかを徹底的に観察し、理解します。
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定義 (Define): 集まった声から「本当の課題は何なのか?」を特定します。(例:オンライン申請が使われないのは「操作が難しい」からではなく「入力項目が多すぎて不安」だからではないか?)
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概念化 (Ideate): 既成概念にとらわれず、デジタル技術を使ってどう解決できるか、自由にアイデアを出します。
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試作 (Prototype): いきなり完璧なシステムを作らず、まずは「簡易的な仕組み」を素早く形にします。
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テスト (Test): 実際に使ってもらい、フィードバックを得ます。
2. なぜDXに「デザイン思考」が必要なのか
これまでの行政は「仕様書どおりにつくる」という計画重視(ウォーターフォール型)でしたが、DXでは以下の理由でデザイン思考が不可欠です。
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「やさしさ」の具体化: 住民一人ひとりの「使いにくい」という感覚に共感することから始めるため、結果として「やさしい(ユーザーフレンドリーな)」サービスが生まれます。
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2030年の交差への加速: ユーザーが「これなら使える!」と実感できるものを試作・テストしながら改善するため、スマホ機能を使える人の増加(デジタル習熟)を劇的に早めます。
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失敗の最小化: 小さく試して改善する(ローリング)手法であるため、大きな予算を投じて「誰も使わないシステム」を作ってしまうリスクを回避できます。
3. 五霞町DXにおける「デザイン思考」の適用イメージ
計画のポイントとして、具体的に以下のような場面で活用されます。
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町民向けサービス: 「高齢者がスマホをどう持っているか」「どのボタンを押し間違えるか」を観察し、迷わないUI(画面設計)を実現する。
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職員の業務改革: 現場の「面倒な作業」に共感し、単なるデジタル化ではなく、その作業自体をなくすような根本的な改善(BPR)を行う。
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地域課題の解決: 人口減少や高齢化という「重大な課題」に対し、住民と一緒にワークショップを行い、当事者目線の解決策を創り出す。
まとめ:デザイン思考は「やさしさ」のエンジン
計画書で語られる「やさしいまち」が漠然とせず、地に足がついたものになるのは、このデザイン思考という「手法」が裏打ちされているからです。
「デジタル = 機械的」というイメージを払拭し、「デジタル = 徹底的に人間に寄り添うための道具」へと変える力が、デザイン思考にはあります。
04計画の位置づけ
1. 総合計画を支える「加速装置」
町のあらゆる施策の根幹である「第6次五霞町総合計画」が掲げる将来像を実現するための、具体的な手段(ツール)としての位置づけです。
役割: 総合計画が「何を達成するか(目標)」を示すのに対し、DX推進計画は「デジタル技術をどう使って達成するか(手段)」を定義します。
連動性: 農業、福祉、教育など、総合計画に盛り込まれた全分野の施策を、デジタルの力で効率化・高度化させる役割を担います。
2. 国・県の方針との「整合性」
国が進める「デジタル社会の実現に向けた重点計画」や、茨城県のDX戦略と歩調を合わせるための指針となります。
国の指針: 「自治体DX推進計画」に基づき、基幹業務システムの標準化やマイナンバーカードの活用など、全国一律で進めるべき事項を町の計画に落とし込んでいます。
地域特性: 国の方針をそのままなぞるだけでなく、五霞町の課題(人口減少や地域格差など)に即した「町独自のカラー」を反映させた計画となっています。
3. 各個別計画をつなぐ「横串(よこぐし)」
これまで「福祉」「教育」「防災」など、それぞれの分野でバラバラに進んでいたデジタル化を、一つの大きな方針でつなぐ役割です。
データ連携: 分野ごとに閉じていたデータを、町全体で共有・活用できる基盤を作るための共通ルールとしての位置づけです。
全庁的な推進: 特定の部署だけでなく、役場全体、さらには町全体が同じ方向を向いてDXに取り組むための「共通言語」となります。
計画の体系図(イメージ)
ご提示いただいた「2030年の交差」という未来予想図に向かうための、構造的な立ち位置は以下のようになります。
最上位計画: 第五次五霞町総合計画(町の進むべき大きな方向)
個別計画(本計画): 五霞町DX推進計画(デジタルによる実行手段)
関連計画:
五霞町定員管理計画(人員配置の効率化)
五霞町人材育成プラン(職員のスキルアップ)
各分野の個別計画(防災、福祉、教育など)
まとめ:DX推進計画は「羅針盤」
この計画があることで、2030年の「アナログとデジタルの交差」に向けた歩みが、場当たり的なものではなく、一貫性を持った確かなものになります。
この「位置づけ」を明確にすることで、「なぜこの事業が必要なのか」という強力な根拠(エビデンス)となります。
05計画の構成
計画の構成は、8つの重点取組項目と5つの強化取組項目、2つの追加取組項目になります。詳細は08取組内容になります。
- 8つの重点取組項目は、総務省のDX推進計画に準じています。
- 5つの強化取組項目は、町内及び庁内の課題によるものです。
- 2つの未来志向取組項目は、未来を見据えた取り組みによるものです。
デジタルデバイド対策
デジタルデバイド対策とは、年齢、性別、居住地域、経済状況などに関わらず、すべての町民がデジタルの恩恵を等しく享受できる状態を作ることです。町では、デジタルディバイド対策として次の取り組みを行っていきます。
- 「デジタル化推進」と「人的対応」の明確な役割分担を実現し、住民が安心して人に相談できる体制の充実を図ります。
- 「最低限のつながり」と「安否確認」については、五霞町公式LINEの登録を推進していきます。
- スマホ相談室などの人的サポート体制を定期的設置や出前方式として拡充し、デジタル不慣れ層も対象にしたきめ細やかな支援を行います。
- 住民の方のニーズにあったスマホ教室やパソコン教室などを計画的に行います。
- 高齢者が日常的にデジタルに触れる機会を増やすため、町イベントやスマホ料理教室などを企画し体験と学びの機会を継続的に提供します。
- 職員全体のデジタルリテラシー向上を図り、住民の方にサポートができるようにします。
- 地域ボランティアなど、地域の方が地域の人に教える仕組みを構築していきます。
- 「最低限のつながり」と「安否確認」については、拡充した五霞町公式LINEの登録を推進していきます。
1. 対策の3つのレイヤー(物理・知識・意欲)
格差を解消するためには、以下の3つの壁を同時に取り払う必要があります。
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物理的な壁(アクセス): そもそも通信環境がない、端末を持っていない状態。
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対策: ローカル5Gの整備、公共施設でのWi-Fi提供など。
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知識・技術の壁(リテラシー): 端末はあるが、使い方が分からない状態。
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対策: 継続的なスマホ相談室の開催など。
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意欲・心理的な壁(ベネフィット): 「自分には関係ない」「怖い」「面倒」と感じる状態。
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対策: 「これを使うとこんなに便利」という実体験の提供、UI・UX(使いやすい画面)の徹底。
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2. 町が目指す「伴走型」の支援
町の計画におけるポイントは、単に「教える」だけでなく、住民の生活に「伴走する」姿勢です。
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「1 見る・2 知る」から「5 使う」への誘導: 2030年の「交差」に向けて、まずは「見る・知る」機会を増やし、最終的に日常生活で「使う」まで、段階的にサポートします。
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アナログとデジタルのハイブリッド:「デジタルに移行したからアナログは廃止」ではなく、デジタル化によって生まれた「職員のゆとり」を、デジタルが苦手な方への手厚い対面サポートに充てます。これが「行政のやさしさ」の本質です。
3. デジタルデバイド対策が「やさしいまち」を創る理由
この対策が進むことで、町全体に以下のような好循環が生まれます。
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孤立の防止: 高齢者がSNSやビデオ通話を使えるようになることで、地域や離れた家族との繋がりが強化されます。
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安全の確保: 防災情報をスマホで即座に受け取り、避難行動に移れる人が増えることで、町の防災力が底上げされます。
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自己実現の支援: オンラインで学び、オンラインで買い物や手続きができるようになることで、移動が困難な方の生活圏が劇的に広がります。
4. デザイン思考との連動
「デザイン思考」に基づき、デジタルデバイド対策もアップデートされます。 「教える側の論理」で教室を開くのではなく、「住民が何につまづいているか(共感)」からスタートし、ボタンの配置一つ、言葉の選び方一つを、住民と一緒に磨き上げていきます。
まとめ:デジタルディバイド対策は「権利の保障」
町にとって、デジタルディバイド対策は単なる福祉施策ではなく、「デジタル社会における住民の権利を保障するインフラ」です。
「50.0%の国勢調査オンライン回答率」という2030年の目標値は、このデジタルディバイド対策がいかに機能し、「デジタルを自分の道具にできた人」がどれだけ増えたかを測る、最も誠実なバロメーターとなります。
06計画の期間
1. 「期間設定なし」が意味する柔軟性(アジャイルな姿勢)
従来の行政計画は「5か年計画」のように期間を区切るのが一般的でしたが、DXの分野ではそれが足かせになることがあります。
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技術革新への即応: 生成AIのように、数ヶ月で世界が変わる分野において、5年前の計画に縛られるのはリスクです。期間を設けないことで、最新技術をいつでも取り入れられる「常に最新(エバーグリーン)」な計画であり続けます。
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中長期的な継続性: デジタル化は2030年の「交差」を超え、2040年、その先まで続く終わりのないプロセスです。「期間終了」で立ち止まることなく、まちの文化として定着させます。
2. 国のスケジュールとの「同期(シンクロ)」
独自の期間設定をしない代わりに、国の動きを「基準」として活用します。
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国の5年間スケジュールへの準拠: 国(デジタル庁)が示す重点計画のサイクルに合わせることで、補助金の活用やシステムの標準化といった国策とのズレをなくします。
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毎年度更新(ローリング): 毎年内容を見直すことで、「計画と実態の乖離」を防ぎます。これにより、前述の「5つのステップ」のローリングが制度として組み込まれることになります。
3. 実効性を支える「三段構え」の管理体制
「期間がない=やりっぱなし」にならないよう、以下の3つのツールで厳格に管理します。
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工程表(ロードマップ): 「いつまでに何をやるか」を可視化し、遅れがないかをチェックします。
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町のPDCAサイクル: 毎年度、実施した施策を評価し、次年度の更新に反映させます(Plan→Do→Check→Act)。
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別途アクションプラン: 計画本体は「大きな方針」を定め、具体的な事務手順や数値目標は「アクションプラン」という別冊で管理します。これにより、現場の状況変化に応じた素早い修正が可能になります。
デジタル指標「国勢調査オンライン回答率」
1. 指標に「国勢調査」を選ぶ戦略的意味
国勢調査は、5年に一度、全世帯が対象となる日本最大規模の統計調査です。
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網羅性: 若者から高齢者まで、すべての世帯のデジタル活用状況がダイレクトに数字に表れます。
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比較可能性: 全国平均や近隣自治体との比較が容易で、五霞町の立ち位置を客観的に把握できます。
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信頼性: 役場独自のアンケートではなく、国の公的統計データであるため、計画の説得力が非常に高まります。
2. 数値目標のステップ解説(2025年〜2040年)
2025年度実績:41.1%(現状:アナログ優位の壁)
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分析: 約4割の方がオンライン回答を選択していますが、まだ6割近くが「紙」での回答です。
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状態: 「1 見る・2 知る」の段階。デジタルへの関心はあるものの、操作への不安や「紙の方が安心」という心理が根強い状態です。
2030年度見込み:50.0%(転換点:運命のクロスポイント)
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分析: ついに半数の世帯がオンライン回答を選択します。
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状態: 先にお話しした「アナログとデジタルの交差」が現実のものとなるタイミングです。スマホ教室の成果が実り、高齢者世帯でも「自分でできる」人が増えていることを示します。
2035年度見込み:60.0%(定着:デジタルが多数派へ)
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分析: オンライン回答が明確な「マジョリティ(多数派)」となります。
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状態: 「3 分かる・4 試す」を経て、多くの町民が「デジタルの方が圧倒的に楽だ」と実感しているフェーズです。紙での回答は、むしろ「特別な手間」という認識に変わり始めます。
2040年度見込み:70.0%(成熟:スマート自治体の完成)
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分析: 7割の世帯がオンラインで完結。
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状態: 「5 使う」が完全に定着した姿です。残りの3割(アナログ)に対しては、戸別訪問などで手厚くサポートする「デジタルとアナログの最適解」が実現している状態を指します。
3. 指標達成に向けた「ローリング」の役割
この数値を達成するためには、単に「オンラインで答えてください」と呼びかけるだけでは不十分です。
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フィードバック: 2030年に50%に届かなかった場合、なぜ止まったのかを分析し(1 見る)、次の5年に向けた改善策をアクションプランに反映(ローリング)させます。
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相乗効果: オンライン回答率が上がれば、副次的に「行政手続きのオンライン利用率」や「公式LINEの登録者数」も連動して上がっていくことが期待されます。
まとめ:数字が語る「町の未来」
「2030年に50%(交差)」という目標設定は、五霞町がデジタル先進自治体へと脱皮するための「本気のマイルストーン」です。この数字を追い続けることで、町全体のデジタルリテラシーが確実に底上げされていきます。
07推進体制
1. 意思決定の司令塔:五霞町情報化推進委員会
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構成: 副町長(委員長)、各課長(委員)
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役割: 町全体のデジタル・DXに関する決定機関になります。
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ポイント: 課をまたぐ調整や全庁的な方針決定を迅速に行うことができます。「役場としてやる」という強い意志を示す最上層です。
2. 戦略実行のエンジン:情報化推進ワーキングチーム(WT)
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構成: 課長補佐、主幹、係長
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役割: デジタル・DX施策を実施計画に落とし込む実務のリーダー層です。
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ポイント: 各課の「プレイングマネージャー」たちが集まることで、現場の課題を理解しつつ、組織を動かす現実的な実施計画を策定します。2030年の「交差」に向けた「ローリング」の核となります。
3. 現場実践のキーマン:情報化推進サポートチーム
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構成: 主査以下の各課(1から3名以内)代表者
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役割: 新しいシステム・DXの検討やトライアル、既存システム・DXの改善・拡充、現場レベルでの具体的な課題抽出・フィードバックを行います。
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ポイント: 若手・中堅職員が中心となることで、デジタル・DXへの柔軟な対応が期待できます。現場の「困った」を吸い上げ、改善案を提案するボトムアップの起点となります。
4. 組織の土台:一般職員(全職員)
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構成: 全ての職員
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役割: 日常業務で「使う(ステップ5)」こと、そして自身のデジタルリテラシー向上により町全体のデジタル・DX推進につながります。
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ポイント: ピラミッドの底辺が充実することで、町全体のDXの安定感が増します。研修などを通じて、一人ひとりがDX推進について当事者意識を持って取り組みます。
まとめ:なぜこの「重層的な体制」が必要なのか
DXは情報システム部門だけが頑張っても成功しません。 「副町長の強力なリーダーシップ」と「課長補佐・主幹・係長クラスの実務力」、そして「現場の若手の感性」がこのピラミッドの中で混ざり合うことで、五霞町は変化に強く、地に足のついたデジタル化を推進できると考えます。
人材育成・確保の解説詳細:変革を自走させる「人」の力
町における人材戦略は、単に「ITに詳しい人を雇う」ことではなく、「全職員がデジタルを武器にできる状態」を作り出すことに主眼を置いています。
1. 役割に応じた「多層的」な育成シナリオ
推進体制のピラミッド構造に合わせ、それぞれの層に必要な能力(スキルセット)を定義し、育成します。
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リーダー層(課長・補佐級):【変革の構想力】
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既存の業務をデジタル前提で根本から見直す「BPR(業務再設計)」の視点や、デザイン思考による政策立案能力を養います。
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実務リーダー層(係長・主査級):【プロジェクト推進力】
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現場の課題をデジタルでどう解決するか具体化し、ベンダー(開発業者)と対等に渡り合えるディレクション能力を磨きます。
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一般職員層:【デジタル活用・共感力】
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ツールを使いこなすリテラシーに加え、住民の「使いにくい」に寄り添い、改善案をフィードバックできる「現場の目」を養います。
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2.「確保」の戦略:外部知見と内部活用の融合
地方公務員という枠組みの中で、高度な専門性をいかに補完し、定着させるかがポイントです。
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外部専門人材の活用(CIO補佐官等):
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専門的な技術選定やセキュリティ判断など、庁内だけでは不足する高度な知見を「外部アドバイザー」として戦略的に取り入れます。
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「情報化推進サポートチーム員」の活用:
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各課にデジタルスキルに強い職員を育成し、内部の「ちょっとした困りごと」をその場で解決できる体制を作ります。これは「確保」の一環としての内部活用です。
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3. 人材育成が「やさしいまち」へ繋がるメカニズム
なぜ「人材」が「やさしさ」に直結するのでしょうか。
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「余裕」が「優しさ」を生む:
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職員がデジタルを使いこなし、事務作業を劇的に短縮できるようになれば、その分住民の話を聴く「心のゆとり」が生まれます。
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「自ら変える文化」の醸成:
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職員一人ひとりが「もっとこうすれば住民は便利になる」とデザイン思考で考えられるようになれば、町は常にアップデートされ、時代に即した「やさしさ」を提供し続けられます。
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4. 育成の評価軸:2030年・2040年への道標
人材育成の成果は、単なる研修受講数ではなく、以下のような「変化」で測定します。
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BPR提案数: 現場からどれだけ「この業務はデジタルでこう変えられる」という提案が出たか。
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内製化率: 簡単なツール(RPAやノーコードツール等)を、職員自らがどれだけ構築・運用できているか。
まとめ:人材育成は「未来への投資」
五霞町のDX推進体制において、人材育成・確保は「コスト」ではなく、「2040年を生き抜くための最重要投資」です。
ピラミッドの底辺である一般職員のリテラシーが底上げされ、頂点であるリーダー層がデザイン思考で舵を切る。この「人の成長」こそが、2030年の「交差」を乗り越え、全てが「やさしい」五霞町を支える揺るぎない土台となります。
08取組内容(重点取組項目:国の自治体DX推進計画に基づくもの)
1. 自治体フロントヤード改革の推進
「フロントヤード」とは住民と役場が接する「窓口」のことです。ここをデジタル化することで、住民の利便性を最大化します。
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接点の多様化: 窓口だけでなく、スマホ、コンビニ、郵送など、住民が自分に合った手段を選べるようにします。
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リソースの最適配置: 書面受理をデジタルに任せ、浮いた時間やスペースを「複雑な相談対応」や「アウトリーチ(こちらから出向く支援)」へシフトします。
2. 地方公共団体情報システムの標準化
これまで各自治体がカスタマイズしていたシステムを、全国共通の「ガバメントクラウド」上の標準システムへ移行します。
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標準仕様への準拠: 住民基本台帳や税など20業務を対象に、全国どこでも同じデータ形式で運用できるようにします。これにより、制度改正時の改修コストや運用負荷を大幅に削減します。
3. 「国・地方デジタル共通基盤」に基づく推進
国と地方がバラバラにシステムを作るのではなく、一つの大きな基盤を共同で使うという方針です。
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共同調達: 都道府県が音頭をとり、複数の市町村でまとめてシステムを調達することで、小規模な自治体でも安価に高度なシステムを導入できるようになります。
4. 公金収納におけるeL-QRの活用
税金や公共料金の納付書に印字される「地方税統一QRコード(eL-QR)」をフル活用します。
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導入拡大: 2026年9月以降、後期高齢者医療保険料や介護保険料など、あらゆる公金に順次拡大します。
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利便性: 住民はスマホ決済アプリや全国の金融機関窓口で、いつでもどこでも簡単に支払いが可能になります。
5. マイナンバーカードの取得支援・利用の推進
カードを「作る」段階から「使う」段階へ移行するためのサポートです。
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大量更新への備え: カードの有効期限(10年)や電子証明書の更新(5年)のピークに向けた体制を整えます。
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特急発行: 紛失時や出生時、国外転入時など、緊急性の高い場合に原則1週間以内(最短5日)でカードを発行し、郵便等で直接自宅へ届ける制度です。
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取得困難者への支援強化(アウトリーチ):高齢者や障害をお持ちの方など、役場に来ることが難しい方を取り残さないための施策です。
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郵便局窓口活用の推進:身近な「郵便局」の活用推進を検討します。
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コンビニ交付サービスの拡充:「役場に行かなくてもいい」状態を物理的に支えるサービスです。住民票の写しや印鑑証明に加え、取得できる書類の種類を増やす検討を行います。
6. セキュリティ対策の徹底
デジタル化が進むほど、サイバー攻撃のリスクは高まります。
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方針策定の義務化: 令和8年度(2026年度)からセキュリティ方針の策定が義務化されることに対応し、脆弱性診断や対策実施体制を強化します。
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サイバー基準への対応: 国が示す高いセキュリティ基準をクリアし、町民のデータを死守します。
7. 自治体のAIの利用推進
生成AIを含むAI技術を、ルールを守りながら活用します。
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ガバナンスの確保: AI法やガイドブックに基づき、「個人情報を入力しない」「AIの回答を鵜呑みにしない」といった適正な利用ルールを構築します。
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共同利用: 小規模自治体でも負担なくAIを使えるよう、他団体との共同利用を模索します。
8. テレワークの推進
場所を選ばない働き方を、役場内の「当たり前」にします。
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業務見直しとの連動: システム標準化やフロントヤード改革(ペーパーレス化)、電子決裁、オンライン研修が進むことで、これまでの庁舎内でしかできなかった業務をテレワーク対象業務へと拡大します。
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BCP(業務継続計画): 災害時・緊急時でも職員が自宅から業務を行える仕組みを構築します。
08取組内容(強化取組事項:町内・庁内の課題によるもの)
強化取組事項を推進するにあたり「まちづくり・ひとづくりとDX推進との融合」を心掛け、業務改革を意識したDX推進を進めていきます。
1. ペーパーレス化及び押印省略・オンライン手続きの推進
「紙とハンコ」の文化から脱却し、情報の流れをデジタルに一本化します。
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紙からデジタルへ: 決裁や報告を電子化し、机の上の書類をゼロに近づけます。
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押印省略: 「ハンコ」を廃止し、電子決裁や電子署名や電子認証へ移行することで、事務スピードを向上させます。
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住民のオンライン手続き: 役場に来なくても24時間スマホで申請ができるように、内部のペーパーレス化とセットで進めます。
2. 入札参加・電子入札・オンライン手続きの推進
事業者とのやり取りをデジタル化し、透明性と効率性を高めます。
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入札参加資格のオンライン化: 事業者が紙の書類を持って役場に来る負担をなくし、全国どこからでも申請可能にしましたので普及推進に努めます。
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電子入札導入: 入札会場に集まる必要をなくし、公正かつスピーディな契約事務を実現します。
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事業者のオンライン手続き: 請求書や報告書もデジタル化し、事業者・役場双方の事務コストを削減します。
3. デジタル機器を活用した相談等の推進
「対面」にこだわらず、ICTを活用して住民とつながる新しい形です。
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オンライン相談: 介護や子育ての相談を、自宅からビデオ通話で行えるようにします。
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オンライン診療: 通院が困難な高齢者などのために、タブレット等を通じた診療体制を支援し、健康寿命の延伸を図ります。
4. データのデジタル化・オープン化
データは「守る」だけでなく「使う・公開する」ことで価値が生まれます。
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データの共有: 課ごとの縦割りを、必要な情報を全庁で横断的に活用できる基盤をつくります。
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オープンデータ: 統計や地図情報を二次利用しやすい形式で公開し、民間企業による新しいサービス創出(イノベーション)を促します。
5. EBPM(証拠に基づく政策立案)の推進
「勘と経験」から「データ」に基づく行政経営へ転換します。
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計画・施策への反映: 施策を打った後、どれだけ効果があったかを数値で測定し、次の予算や計画に反映させます(2030年の「交差」を測るのもこのEBPMの考え方です)。
6. 新庁舎建設を見据えたデジタル化の推進
新庁舎を単なる「新しい箱」ではなく、「DXの拠点」と位置づけます。
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無線・モバイル環境: 電源や有線LANに縛られないフリーアドレス化を推進し、職員が場所を選ばず柔軟に働ける環境を作ります。
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既存紙文書のデジタル化: 移転を機に、膨大な紙の公文書をスキャンして電子化し、保管スペースの削減と検索性の向上を同時に達成します。
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利便性向上: 窓口での書かない受付や、デジタルサイネージ(電子看板)による情報発信など、新庁舎そのものをDXのショーケースにします。
デジタル原則を踏まえた規制の点検・見直し:解説詳細
1. 国が掲げる「デジタル5原則」とは
見直しの基準となるのは、国(デジタル庁)が策定した以下の5つの原則です。町もこれに準拠し、既存の規制を点検します。
- デジタル完結・自動化: 手続きがオンラインで始まり、オンラインで終わること。
- アジャイル(機動的)なガバナンス: 固定的なルールに縛られず、状況に合わせて柔軟に見直すこと。
- 包括的(インクルーシブ): 誰一人取り残さず、すべての人が恩恵を受けられること。
- 共通基盤の活用: 各課バラバラではなく、町や国で共通のシステムを使うこと。
- 官民連携: 民間の力やデータを積極的に取り入れること。
2. 具体的な点検の対象(アナログ規制の撤廃)
これまで当たり前だと思っていた「アナログな慣習」を、以下の7項目に分類して徹底的に見直します。
- 目視・対面: 「必ず目で見て確認する」「窓口に来なければならない」というルールの撤廃。
例:オンライン診療や、ドローン・カメラによるインフラ点検への移行。 - 書面掲示・押印: 「紙で掲示する」「ハンコを押す」というルールの撤廃。
例:ホームページでの公表や、電子署名・電子決裁への移行。 - 常駐・専任: 「その場に人がいなければならない」というルールの見直し。
例:リモート監視やテレワークの導入。
3. なぜ「規制の見直し」が「やさしいまち」に繋がるのか
ルールを書き換えることは、住民や職員を「不自由な仕組み」から解放することに直結します。
- 「時間」のやさしさ:
「窓口に来て、紙を書いて、ハンコを貰う」というルールがなくなることで、住民の貴重な時間が奪われなくなります。 - 「場所」のやさしさ:
物理的な制約がなくなることで、自宅や職場、遠方からでも行政と繋がれるようになります。 - 「変化」のやさしさ(アジャイル):
一度決めたルールを「重大な課題」に合わせて柔軟に変えていく姿勢こそが、時代の変化に取り残されない「やさしい行政」の姿です。
4. 2030年の「交差」に向けた戦略的意義
この規制の見直しは、まさに「1 見る・2 知る」から「5 使う」へのバイパス(近道)を作ることです。
- デジタルデフォルト(原則デジタル):
「原則はデジタル。アナログは特別な事情がある場合の配慮」へとルールの優先順位を逆転させます。 - PDCAとローリング:
点検で見つかった課題を「情報化推進ワーキングチーム(WT)」で議論し、毎年度の「アクションプラン」に反映させて、一つずつ古い規制を消し込んでいきます。
まとめ:ルールが変われば、未来が変わる
「デジタル原則を踏まえた規制の点検・見直し」は、地味で根気のいる作業ですが、町のDXが「単なるIT化」で終わるか、「本物の改革(トランスフォーメーション)」になるかの分かれ目です。
古いルールの壁を壊し、デジタルという新しい風を通す。この「OSの書き換え」こそが、2040年に向けて、ひとも、モノも、地域も、行政も、全てが「やさしい」まちを支える真の土台となります。
08取組内容(未来志向取組項目:地域未来によるもの)
1. デジタル実装型の推進
国が提唱するモデルに基づき、特定の目的に特化したデジタル化を推進し、様々なDXに取り組みデジタルでまちづくりを進めます。
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(1) デジタル行財政改革特化型【TYPE S】
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内容: 行政の「バックオフィス(内部事務)」の徹底的な効率化を目指すモデルです。
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五霞町での狙い: 基幹系システムの標準化だけでなく、BPR(業務再設計)を積極的に進め、少人数の職員でも質の高い住民サービス、行政事務を維持する組織をつくります。その狙いに合致するタイミングで取り組みます。
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(2) 先進的デジタル公共財活用型【TYPE V】
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内容: 国や他自治体が開発した「オープンな共通ツール(公共財)」を賢く活用するモデルです。
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五霞町での狙い: ゼロからシステムを開発するコストを抑えつつ、検証済みの高度なアプリやサービスを素早く導入します。その狙いに合致するタイミングで取り組みます。
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(3) 地域住民等利用推進型【TYPE A】
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内容: 住民の方がデジタルを使い便利になることに重点を置いたモデルです。
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五霞町での狙い: 2030年の「交差」を象徴する項目です。デジタルを使って地域課題を解決する「共助」の仕組みを実装します。その狙いに合致するタイミングで取り組みます。
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2. 地域デジタル基盤の推進
町の通信インフラそのものを次世代化し、物理的な制約を解消します。
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(1) ローカル5G等の無線通信システムによる課題解決
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内容: 特定のエリアに、超高速・低遅延の専用無線ネットワークを構築します。
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五霞町での狙い:この狙いに合致するタイミングで取り組みます。
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防災: 災害時にキャリア回線が混雑しても、独自の通信網で高精細なカメラ映像をリアルタイム共有し、迅速な救助につなげます。
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産業・農: スマート農業(自動走行トラクター等)や、工業団地での自動搬送ロボットの導入を支援し、働き手不足を解消します。
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教育・遠隔: 大容量データを瞬時に送れるため、高画質な遠隔授業やオンライン診療をストレスなく提供できます。
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